第1回「特別助成」の審査結果について
平成20年3月
公益信託 みのお山麓保全ファンド
 箕面の山麓(里山)を活かした“まちづくり”や“地域コミュニティ形成”のための個性と創造性に満ちたハード事業(施設整備型事業)に関する「特別助成」の第1回目の申請を募集した結果、4件の応募がありました。
 3月26日に運営委員会を開催し、申請書類に加え申請者によるプレゼンテーション(説明)を受け慎重に審査した結果、次の2件が募集の条件を満たすとともに内容が特に優れているものとして、今回の助成対象に選ばれました。
1.箕面ネイチャールーム事業     申請者:ネイチャールーム倶楽部
【事業概要】
 この事業は、市民組織が箕面の滝道の土産物店街の空きスペースを活かして内装を改善し店舗形態の公開交流空間(ネイチャールーム)を整備し、自然に関する情報の発信や商品・サービスなどの提供を行い、山 麓保全活動を促進しあわせて滝道の魅力化・活性化を目指すものです。
 代 表 者:稲井信也
 事業規模:450万円
 助 成 額:300万円
【講 評】
 この事業は、自然観察や小売業の活動実績をもつ市民が中心に取り組むものであるとともに、近年、広がりつつある山麓保全活動への科学的な情報を提供し、また自然志向を高めつつある滝道の来訪者のニーズに応え、加えて時代の流れに応じて転換が求められている土産物店街での先導的試みとして評価されます。
 また、既に事業の予定地が確保(所有者との調整済み)されており、自然系の出版社が所有していた文献・書籍・標本などの提供が約束されるなどの準備が整っている。
 さらに、商品販売による運営経費の捻出や会員常駐による運営(販売 他)体制についても考慮されており、助成金以外にも自己資金を会員等の拠出により確保する予定であるなど、周到で意欲的な運営準備がなされています。
 こうしたことから、山麓保全活動への幅広い啓発、観光客への自然保護のアピールなどの公益・公共性が認められるとともに運営への工夫があり、その成果が特に期待できます。
2.愛農郷(あいのさと)創造事業    申請者:NPO法人 愛農郷
【事業概要】
 この事業は、市北部(止々呂美地区)の農業者(山林所有者)が中心となり市民を集め、既存の体験型森林公園『愛農郷』を充実・整備し、伝統的な炭焼きや下草刈りなどの森林体験やシイタケ栽培などの体験学習プログラムを提供するなどの活動をより広く展開するものです。
 代 表 者:射場孝雄
 事業規模:119万円3千円
 助 成 額:109万2,696円
【講 評】
 この事業は、里山保全をめざした里山林活用による炭の生産(炭焼)を通して、幅広い市民の参加による体験型の資源循環に取組む事業とし て評価されます。
 本活動は地元の経験者(農林業、炭焼き等)の指導を受けつつ、確保された用地において市民の炭焼きなどの農業体験型活動を受け入れてい
る実績があります。こうした実績に基づき、それらをより円滑に進めるための炭焼き窯上屋などの施設整備を行うもので、実現性と安定感のある事業です。事業規模も、適切と認められます。
 運営体制も、運営委員長を定めるなど整備されつつあります。こうしたことから、地域資源(人材、農林業)と幅広い市民とをつなぎ、里山の意義を啓発・活用する事業で公益・公共性が認められるとともに、その成果が特に期待できます。
3.全体について 
【講 評】
 今回の4件はいずれも熱心な活動の実績があり、前向きの事業内容でした。
 しかし、助成対象にならなかった2件の中には、事業地の所有者の了解についてあいまいなもの、非施設的な事業を主な対象にしたものなど、そもそもの募集の基本的な条件を満たしていない点がみられました。また、事業内容について、その妥当性や必要性の説明が十分でないものがみられ、概して事業計画の検討が十分でない印象でした。
 今後、その内容を十分に再検討し、再チャレンジする可能性も残しています。
 さらに、助成対象となった事業についても、助成の趣旨に基づいて、施設整備後の運営を考慮した適切な事業実施へ向け細心の注意と情熱を持って取り組んでいただくことを望みます。